「引責辞任では?」
「4月に社長交代することもできたのに、それをしなかったことを評価する。株主の不満のはけ口になるはずの6月の株主総会で、大坪社長は議事進行役を務め、説明責任を果たしてからバトンを渡すのだから」
大坪社長も、記者会見で「引責辞任では?」と聞かれ、こう答えた。「将来への礎を築くのも経営者の責任。そういう意味では、自分では責任を果たせた」。確かに、買収した三洋電機の減損処理、テレビ事業のリストラ費用の積み増しなど、できうるかぎりのマイナス要素を今年度中に出し、来年度にはV字回復しやすい環境をつくって次に引き継ぐ。
バトンを受ける津賀氏は技術系で、1979年の入社。2004年に47歳の若さで役員となり、2011年4月からAVCネットワークス社の社長を務めている。兵庫・尼崎のプラズマ工場の大幅縮小を訴え、実現したのも津賀氏だといわれている。
「普通のパナソニックでは、ありえないほど若い社長」(パナ役員OB)といわれる津賀氏。果たして、大坪氏が描いたV字回復劇のシナリオで、しっかりと主役を演じることができるだろうか――。