ハーバードSSP(Secondary School Program)は、ハーバード大学が高校生を対象に開催するサマースクールで、140年の歴史があります。学部で行われる通常の1semester分の講義を7週間にギュギュッと凝縮して、相手が高校生だろうがお構いなしに展開してしまいましょう、というもので、高校生にとってはなかなかハードなカリキュラムです。
昨年、そのSSPに、長女の桜が参加しました。(前回のコラム『ハーバードから届いた合格通知』をご参照ください。) 会期中にちょうどタイミングを同じくして世界を熱狂させたのが、なでしこジャパンでした。
なでしこジャパンが2011年のワールドカップで優勝した試合を、私は夜中起きして、ボストンに滞在中の桜とスカイプでチャットしながら観ていました。ハーバードSSPでまもなく試験を控えていた桜は、「なでしこジャパンの大活躍にあやかって、SSPでも日本人女子に一目置いてもらえるよう頑張る!」 と決意を語っていましたが、その言葉通り、2011年のSSPを、まずまずの成績で乗り切りました。
中産階級以上の裕福な白人家庭の子どもが様々オプション付けて競り上がり、代表の座を射止めたアメリカチームに対し、スーパーのレジ打ちや、銭湯の掃除で生計を維持しながらサッカーを続けてきた日本代表が、勝った、と話題になりましたが、桜に言わせれば、世界の舞台で闘うからにはどちらも本物の実力の持ち主!
他方、ワールドカップとは比較にならない次元ながら、ハーバードSSPもまた、お約束のように様々オプション付けて競り勝って来た生徒のみならず、経済力の裏付けがなくとも、出自の境遇を跳ね返すだけの努力や、或いは、目の覚めるような天性の才だけを頼りに、世界の舞台へのし上がってきた生徒がいます。(一例として、出生証明書がなく?(本人談)パスポートを持たず身分を証明するものはハイスクールの学生証だけ、というマイノリティの女の子が、奨学金枠で参加していました。)
アメリカ代表タイプも、なでしこタイプも、いずれ劣らぬツワモノ揃い。それら双方と同じ土俵で学べる場を提供する包容力が、アメリカにはある! そこがアメリカの凄さだと、親子ともども実感させられた夏でした。
今年は、ロンドンオリンピックが開催されます。そして、17歳になった桜のもとへは先日ハーバードから、2年目のSSPの合格通知が届きました。再び、熱い夏になりそうです。
なでしこジャパンのお足許には遠く及ばずとも、日本人女子の一員として、SSPで伸び伸び力いっぱい健闘してくれますように。