「『将来の夢はお金持ちになって幸せになること』などという友達はいませんか」。
これは、東京・麻布の名門中学、麻布中の今年2月に行われた入学試験で出された、社会科の問題の冒頭文。これは、お金がどういうものか、歴史をふりかえりながら、お金と幸せとの関係について考察する問題を出している。
文章の一節に「人々が価値があるということを信じ込んでいるからこそ、現在のお金のしくみは保たれているのです」という箇所がある。
ちなみに、上記の部分について、次のような問題が出されている。
世の中には、人々の思い込みにもとづいて成り立っているようなことがらが多くあります。
(1)具体例を1つあげ、それについて人々の思い込みがどのようなものか、説明しなさい。
(2)(1)の具体例について、人々の思い込みがなくなったとき、私たちの生活はどのように変化するのでしょうか。
インターエデュが出している解答例によると、次のようになる。
(1)土地の値段が価値のあるものとして場所によって高かったり、低かったりすること。
(2)年収の何倍ものお金を出して、土地や家を買わなくなる。
今さらながらだが、土地の資産価値は貨幣経済によって支えられており、金銭的価値をともなうからこそ、売買が成立していることを解答例では示している。つまり根底にあるのは、お金の価値を認める信仰からだ。
そうして問題文の最後は「お金は便利ですが、万能ではありません。私たちの使い方や考え方によっては、深刻な問題を引き起こす力をもってもいるのです。お金とうまくつきあってゆくためには、歴史のなかで私たちの社会がお金とどのように関わってきたのかを学ぶ必要があるといえるでしょう」と結んでいる。