4.6億円脱税で「ヒルズ族」から工場に戻った男

 FX(外国為替証拠金取引)でかつては約10億円まで証拠金が膨らみ、六本木ヒルズでの生活を謳歌。しかし、無申告のため、所得税法違反ですべて合わせて約2億8000万円の支払い義務が発生した。現在は完済に向けて、地道に地元・埼玉の金属加工業者として働く男性のその後を追った。

かつて日本一ポンドを持っていた男

 「1日のスワップだけで200万円ありました」


磯貝清明氏
 そんな景気のいい話を現在、聞くことはまずない。これは2007年、FXの証拠金(ポンド/円)は約10億円に膨らんでいたからだ。個人投資家レベルでは、日本一ポンドを持つ男だったかもしれない。その投資家の名前は磯貝清明氏(35)。

 東京・六本木ヒルズでの生活を楽しんでいた青年は、刑事事件として裁かれ諸々の税金と罰金で約2億8000万円を支払わなくてはならなくなった。税金を滞納すれば14.5%という「国税スワップ」と言われる延滞利息が掛っているために、現実はなかなか厳しいものだ。

 現在は、元々の本業である金属加工業「磯貝商店」を埼玉県内で営んでいる。磯貝氏は前回、ゆかしメディア(YUCASEE MEDIA)でも登場したが、3年ぶりに近況を聞くことができた。自身と同じような境遇で戦っている人にとって励みになればということで、快く取材に応じた。

 3年ぶりの再会。青年の顔立ちからヒルズ族の匂いは消えていた。

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