4年間待ち続けている
泰さんは「旺財は家の中にじっとしているのが嫌いなんだ。いろんな所を散歩したけれど、銀行の前が一番お気に入りみたいだね」「歩き回ったお陰で、近所の人気者になったよ」と話すが、旺財は銀行の入り口に座り続けている様子は、ただ好きだからというようには見えない。
もともと旺財は、4年前泰さんに拾われたという。以前、泰さんは飲食店を経営し、そこに突然、旺財が駆け込んできた。旺財を拾った場所は、銀行の近くで、もしかしたらあの場所に、何か特別な記憶があるのかもしれない、という。
泰さんは、銀行の付近は人や車が多く、誰かに連れ去られないかと心配していたが、それは不要だった。「旺財は、ソーセージと鴨腸しかたべないんだ。前の主人に随分可愛がられていたんだね」と泰さんは話す。
泰さんが家に帰る時間に毎日、旺財も家に戻ってくる。旺財は前の主人を待つのか、泰さんを待つのか？ しかし、旺財はきょうも銀行の入り口に座っている。
