毎日が酒と美女のIPOバブルのアノ頃

 米国はフェースブックの新規株式上場(IPO)を期待するバブルが起き始めているが、そんな大きな相場は日本では二度と起きないとも言われる。だが、かつては東京の渋谷区や港区には華やかかりし時代もあった。ここでは、IPOのお墨付きを得ながらも失敗して、3億円の借金を背負う身となった経験を持つベンチャー社長がその当時の経験を通して、幸福とは何かについて考えた。

ホリエモンも会社を買いに来た

 「うちは1日、100億円動かしている会社です」。


(写真はイメージ)
 うそか本当か、デカいことを言う人間がベンチャー社長の所に訪ねてきた。ビジネスの話をする場にラフな井出達で現れたこの男こそ、ホリエモンこと堀江貴文氏だった。「関連会社になって、一緒に上場しませんか」と誘ってきたという。また、当時の六本木ヒルズのオフィスにも招かれて口説かれ、一瞬グラッときたこともあったそうだ。

 このベンチャー社長は、作家の水野俊哉氏。自身のベンチャー経験はこのたび発表した著書「幸福の商社、不幸のデパート」の中で述べている。その象徴的な存在でもあった堀江氏が受刑中というのだから、時代の流れを感じさせる。

 水野氏はメディア事業を核とする会社を起業し、広告、物販、イベントと収益の柱を確立。右肩上がりの時代背景も手伝って株式上場が十分視野に入っていた。

 そんな水野氏の会社は外からは魅力的に見えたのか、会社を買いたいというM&A話は数多く寄せられた。その中の一社に当時、勢いに乗っていたライブドアもあったのだ。

 結果的に3億円の借金を背負うことになるのだが、振り返ってみれば、この頃が最も良い時代だったかもしれない。

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