毎日が酒と美女のIPOバブルのアノ頃

美女と酒

 当時としてはアジア最大の大箱だった、東京・六本木のヴェルファーレ。エレベーターが止まらない(一般客立ち入り禁止)VIPフロアには夜な夜なベンチャー社長が集まっていた。

 それを取り囲むのはモデル、ミスキャン、ホステスら美女たち。「社長マニア」なる人種はいつの時代もいるが、電話一本でメンバーが集まったのはこの頃も同じだった。スポンサーや援助してくれる人を探す目的の女性もいるというが、社長が集まっている理由は別のところにある。

 それは、社長同士が話して即断即決し、ビジネスをまとめてしまおうというところにある。アルコールと美女が新たな事業プランを生みだすのだ。週の半分以上はこうして朝を迎えていたという。そして昼間は1日あたり7、8件の商談をこなし、社内ミーティングも次々とこなしていった。

 「何のためにそんなに働いていたのか、と今は思います」と水野氏。

 もちろん、目的はIPOのため。デッド・オア・アライブの世界に身を置いて、毎日が勝負だったのだ。自身の貯金から500万円と、銀行融資500万円で起業した水野氏。売上と同時に、借金もどんどん膨れ上がっていった。

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