毎日が美女と酒だったIPOバブルのアノ頃2

 日本でも華やかかりし時代があったIPOバブル。○○族などと呼ばれ世の羨望を集めていた一方で、それに乗り損ねたベンチャー社長もいる。目標はすぐ手の届く所にまで迫りながら、幹部によるクーデターが勃発。3億円の借金を背負う身となったベンチャー社長の体験を通して、お金と人生を考える。

オマエは用済み

 「このプランが本当に魅力的だとすると、別に経営者は社長でなくてもよろしいんじゃないでしょうか」

 水野俊哉氏、COO、CFO、営業統括の4人が出席した役員会議。具体的にIPOの計画もフェーズ1~4まで立てられ、3を実行する直前だった。そこに会議の最後にCFOと営業統括が、創業者の水野氏を追い立てようとしたのだった。

 「その頃、創業当時のメンバーが入れ替わっていました。経営陣は決して仲が良かったわけではありませんし、普通の人よりも利害で動く関係だったかもしれません」

 机をたたき、怒鳴り散らした水野氏。結局は水野氏が会社の資本の大部分を握っていたこともあり、その席はそれで収まった。だが、会社の攻守の要である営業と財務の2人が抜けるのはこの上なく痛い。

 しかし、すでに2人は決意を固めていたようだった。2人は営業と財務の中枢メンバーを集めて独立したのだった。戦力ダウンはもとより、社内の動揺も大きかった。

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