毎日が美女と酒だったIPOバブルのアノ頃2

八方ふさがりで女に走る?

 「社長だけ追い出す方法があると聞いたことがありました」と水野氏。社長同士のつきあいで、そんな話を聞いたことがあったが、まさか自分の身に降りかかるとは。

 クーデター首謀者の幹部2人らが去った後、業務上の横領や不正会計・取引などが明らかになったという。ベンチャーキャピタルなどからの出資話も宙に浮き、フリーペーパーも休刊するなど、完全に行き詰っていた。そうすると金の流れは、一気に逆回転を始め、水野氏の首を締め始めた。


 水野氏は会社がこうなる直前まで、1カ月の可処分所得が約200万円。気が付けば、周りはそうしたレベルの人ばかりとなり、ある意味、「魔法の財布」を握ったような感覚にとりつかれていた。金の出が止まらなくなっていたのだ。苦境に陥っているこの時でさえ、電話一本で女友達を呼び出して、飲み歩いたりするなどしていたという。

 「最初は打ち合わせを居酒屋で3000円とかでやっていたのを、やがて1万円の店を使うようになったり。まるで魔法の財布を持っているかのように、気分が高揚して、キャッシュインしないうちに、どんどんお金が出て減っていくのです」

 負債総額は3億円以上。それでも貸してくれる金融機関があったのだが、これを5年で完済しなければならなかった。

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