増税路線を推し進めている現政府。タックスヘイブン(租税回避地)についての取り組みはそれほど熱心とは言えない中、23日の参院予算委員会でまさに議題に上った。野田佳彦首相も米国の取り組みなどに大いに関心を寄せていた。
富裕層増税の質問
日本国内で資産100万ドル以上の富裕層の数は174万人。これはメリルリンチ・グローバル・ウェルス・マネジメントとキャップジェミニが行った「ワールド・ウェルス・レポート」に記載されている。全人口に占める割合は1.4%にしかすぎないが、金融資産は330兆円に上り、日本の全個人金融資産1470兆円の22%を占めている。
こうした現状や、米国でも高所得者の所得税に増税する流れができつつあることを踏まえて、3月23日の参院予算委で、大門実紀史委員(共産党)が質問した。大門氏、安住淳財務相、野田佳彦首相の3者のやりとりを簡単に再現した。
大門氏「富裕層や、さらに、その上の富裕層に対して課税を検討すべきでは」
安住淳財務相「総理は分厚い中間層の復活と言っているが、その背景には、所得が高くなっている人の比率が高くなる一方、300万円以下の層も増えている。結果として、中間層が細っていく傾向にある。今回は、(所得税率)40%の最高税率を45%に上げた。今後こうした所得の乖離、資本主義だけに頑張った人がある程度の富を受けるのは当然だが、累進税率と所得再配分は議論するべき」
そこで常に出てくる議論が、資産の海外移転。日本よりも低い税率の国や、タックスヘイブン(租税回避地)などに資金を移す動きだが、次にその点に触れられた。