富裕層はシンガポールに資産を移転

ロイターによると、欧米の富裕層はファミリーオフィスを設置してシンガポールに資産を移転する動きを近年加速させている。ファミリーオフィスとは富裕層の資産管理を行うプライベート・カンパニーで、一族の財産や事業継承を行うアセットマネージャー、弁護士、会計士などの専門家チームで構成される。

シンガポールはグローバルの金融・投資のセンター。キャピタルゲイン課税、相続税はなく、法人税率も世界最低水準である上に、規制も比較的緩やかで金融インフラ、法律も整備されている。清潔で安全、高級ショッピングセンター、カジノ、ホテル、ゴルフコース、マリーナ、それに教育・医療施設など富裕層が生活する条件が整っている。

長らく金融立国として名をはせたスイスであるが、金融危機以降、規制の強化等で近年はぐらつきがみられ、富裕層はアジアにファミリーオフィスを設置する動きを強めている。

中国、インド、東南アジアの富裕層の増加に伴い、アジアにおけるファミリーオフィスの数は伸び続けている。カムデンとUBSの調査によると、これらのファミリーオフィスの運用金額は5,000万ドル~10億ドルで、平均リターンは2011年10月までの1年間で9.1%となった。

2015年までに世界最大のオフショア金融センターになると目されるシンガポールであるが、欧州とは違う環境で、アジア諸国における政治的、規制環境、金融取引に対する監視などへ課題もありそうだ。それでもシンガポールは富裕層のファミリーオフィスにとって魅力的な国であり続けよう。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる