日弁連会長選、3カ月の「不毛な戦い」

4人中3人が同じ政策

 各事務所には、ある候補者の集会への参加を要請するFAXやハガキが来たり、また、ある弁護士事務所には、選挙前には候補者陣営から、よろしくという趣旨と思われる電話もあったという。そこまでしても、会員たちの投票行動にどの程度結びついたかは、疑問が残る。

 もちろん、主張が4候補中、3候補で同じだったという点で、何を基準に投票するのかが判然としない面もあった。

 法科大学院から毎年2000人以上の合格者を出すなど、新しい弁護士は次々と生み出されている。こうした過当競争、もしくは就職できない弁護士を生みだす現状を打破しようというのが争点で、合格者数を年間3000人から1500人以下への削減を訴えたのが3候補者。他の1人は、もっと極端な人数削減や大学院見直しを打ち出していた。

 前回は地方の弁護士会の支持を受けて当選した宇都宮氏。会長時代には、司法修習生の廃止された国による給費制を1年間延長したり、東京電力福島第一原発事故の被害者のケアーなどに尽力してきた。ただ、わずか2年で目に見える功績を残すのも難しく、今回は史上初の2選を目指したが一部で批判も出た。

 ただし、「宇都宮先生が出ないと、完全な派閥選挙になってしまう」との危惧を口にする若手も。だが、主張が一様な選挙に、そもそもの意味を見出すのは難しいのではないか? こうなると市民感覚とのズレや、司法との距離も感じざるを得ない。

 では、そもそも日弁連会長とは何なのか。

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