フランス社会党政権の誕生で仏株式は割安

フランス大統領選挙で社会党のオランド氏が選出された。選挙結果を受けて、フランスのCAC指数(EUR)は5月9日現在、3124.80と前日比-89.42と下げている。

前回、フランスで社会党のミッテラン大統領が選出された1981年、株式市場と通貨は大幅下落した、とSmartmoneyは伝えている。仏株式市場は当時30%(米ドル)も下落した。ミッテラン氏の政策はパニックを引き起こすかに思えたからだ。しかし、ミッテラン氏は景気浮揚に努め、他の西欧諸国が緊縮策を採る中で、私企業の国有化政策、増税、労働組合の強化、社会保障費の拡大など社会主義政策を推進した。当時ユーロは存在せずフランスはマネーサプライもコントロールしていた。しかし、翌年にはインフレが進行し、失業者も増加したことから、ミッテラン政権も緊縮財政政策に転換した。

ミッテラン氏の任期は1981~1995年の14年に及んだが、Smartmoneyによると、同期間、仏株式市場の投資家は米ドル換算で750%もの利益をものにした。

1981年のミッテラン政権に比べるとオランド氏は穏健に思われ、投資家も安堵できるだろう。実際、ユーロ、仏政府の債務残高でオランド氏の政策の選択の幅は限られている。社会党政権を懸念する声もあるが、ブルームバーグによると、オランド氏の親友にはAxaやVivendiなどの大手企業のトップが名前を連ねる。

現時点では仏株式は割安であり、ウォーレン・バフェット氏が選好する医薬品のSanofiを始め投資妙味のある銘柄もいくつかある。Sanofi株価は5月8日現在34.90ユーロまで下げており、PERは9倍。石油大手のTotalは34.90のPER6.57倍で、利回りは5.7%。仏株式のPERは10倍程度で米株式よりもはるかに割安で、利回りは4%。

ECBは5月3日の理事会で政策金利を過去最低の年1%に据え置き、一段の緩和を模索している。緊縮路線の転換を目指すオランド氏だが、ドイツのメルケル氏の抵抗も予想され、今後のフランスの金融政策の行方に注目が集まっている。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる