外国人投資家の「織り込み済み」

「無能」も織り込み済み

 まず、日本の政界に関して「織り込み済み」なのはその無能力さです。最近、自民党の政治家は民主党に無能力さの責任を押し付けようとしているが、この無能さはかれこれ10~15年続いています。

 要するに、ここ10~15年、与党だったどの政党にもこの無能さは共通しています。幸い日本の場合、これほど無能な政界であっても、国はどうにか機能し続けています。この点は評価をしていいかと思います。

 外国人投資家は本当によくこの無能さを見抜いています。日本にIRで来日している外国人のほぼ全員が日本の政界はどうなるのか、改善されるのかと聞いてきます。政界の無能さが顕著になって来た当初は、不動産の投資は控えられたほどでしたが、最近はすでにこの点は「織り込み済み」であり、社交辞令として聞かれる質問にすぎません。

 この無能さは、ある意味カントリーリスクとして「織り込み済み」で、多くの投資家は無能な政治家の影響は市場にほとんどないと気が付き、すでに「開き直っています」(「開き直る」というのも私の好きな日本語のフレーズです)。

 他に「織り込み済み」と考えられているのは、マクロ経済や人口統計の「輝きのなさ」です。人口は減り、給料は増えず、高齢化が進み、財政赤字はますます肥大化しています。唯一の根本的な答えとなりうるのはイミグレーション(移民)関連の問題ですが、無能な政界はこの問題に真剣に取り組もうとはしていません。ただ、これらはすべて「織り込み済み」なのです。

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