巨人番記者は言論の自由を得た
「(清武氏がいなくなって)言論が自由になった」
皮肉なことにスポーツ紙記者から、そうした声が出ているのだ。プロ野球の現場でも巨人の取材は難しいと言われる。紙面に割くスペースが多いこともあり、質量ともに読者が満足いくネタを仕入れなければならない。つまり、新聞社側にとっては大きな穴が空いてしまう。それなのに、「出入り禁止」出されてしまってはひじょうに痛い。
それで出禁をよく警告していたのが、清武氏だったのだ。当時は球団代表兼ゼネラルマネージャー。現場を統括する責任者であり、新聞各社の報道にも目を光らせていた。
スポーツ紙デスクは「何でそんな話まで出禁に」と思うようなこともあったという。スポーツ紙などはある程度、そうした空気は読んで報道を抑えていた面もあったというが、夕刊紙はよく「被害」に遭っていたという。
さらにそれだけではなく、自身の著書を読んで勉強するように指示を出したこともあったそうだ。つまり、巨人軍というプロ野球界の権力組織の中の権力者として振る舞っていた面があったのだ。
現在は権力の座から降り、会社からも離れて本当の意味で在野に下った清武氏。巨大な権力に立ち向かう戦いを行っているが、それでこそ、社会部出身者らしい姿ではないか。