ギリシャに加えて、スペインも揺れている。欧州の主要銀行の株価は軒並み急落した。スペインの大手銀行、バンキアから大量の預金が引き出されたとの報道を受けて、同行の現在の株価は前日比14.46%安と大幅下落した。BNPパリバが3.95%安、HSBCホールディングスが13.30%安、バークレーズが3.78%安といずれも値を下げた。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、スペインの銀行16行を格下げしたと発表した。同社は14日にイタリアの銀行26行を格下げた。2月13日にはスペイン国債の格付けをA3に格下げしている。一方、スタンダードアンドプアーズも、4月26日にスペインの格下げ、4月30日に主要銀行11行の格下げを実施している。
ムーディーズは、格下げの理由として、景気後退、不動産危機、高い失業率などの経営環境の悪化、スペイン政府の信用力の低下で、政府が銀行を支援する能力が弱まっていること、資産の質の急速な低下、資金調達能力が限定的であることを挙げている。
同時に、ムーディーズは、銀行の資本金や引当金増強に支えられたリスク吸収力の高まり、ECBによる流動性支援、スペイン政府からの支援の可能性等のポジティブな要因も挙げている。しかし、資産の質の問題がより深刻で、収益の悪化や資本の悪化につながっているとしている。
欧州の銀行はユーロ圏の国債を大量に抱えており、こうした国債価格が下落して評価損につながれば、銀行の体力が弱まり貸し渋りにつながる。景気の落ち込みが欧州にとどまらず、米国や新興国経済に波及する可能性が懸念されそうだ。