(第1回)「『鳥居平』との出会い」
経済ジャーナリスト 湯谷昇羊
「2004年ものでいいワインがあるんだけど、買いませんか。一口100万円で500本購入できるというんだが」
そのワインは元副社長の高校の同級生が醸造しているもので、ワイン造りを始めて3代になるという。私は「日本にそんなワインがあるのか」と思うと同時に、「飲んだこともないワインに100万円を支払う勇気はありません」と丁重にお断りした。それでこの話は消滅したと思っていた。
2007年4月になって、元副社長たちと山梨にゴルフに行く話が持ち上がった。「せっかくだから、友人が経営するワイン工場を見学させていただいて、温泉につかって翌日ゴルフをしよう」というのだ。4月の山梨は桃の花が開花して、それは素晴らしい景色だという。知人たちは一も二も無く賛成して、5人で山梨に出かけることになった。