ヘッジファンドやプライベート・エクイティは、今後数年で欧州の銀行から約600億ユーロに上る銀行貸出債権を買い入れる、とフィナンシャル・タイムズは報じている。英プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)によると、欧州の銀行は2.5兆ユーロの「非中核」資産を抱えており、2012年に売却するローンポートフォリオは額面で500億ユーロ、今後5年で5,000億ユーロに達する。
米国拠点のヘッジファンドは、欧州債務危機に揺れる欧州に進出し、ディストレス債務ファンドに食指を伸ばしているようだ。彼らが特に興味を示しているのが商業不動産担保のローン。こうしたローンを大幅割安で買い取り、再構築して価値を高めることを目指す。
ユーレカヘッジの調査によると、欧州のディストレス債務によるヘッジファンドのリターンは2010年には8.7%、今年は5.5%となった。これに対して、欧州ハイイールド債の今年のリターンは6.4%、米国ジャンク債は5.7%。
商業不動産への投資は今年、世界中で25%増加すると、世界第2位の不動産ブローカーであるラサール社は述べている。
フィナンシャル・タイムズによると、銀行の貸し出しの低迷や景気の悪化で欧州企業のデフォルト率は年末までに2.3%~6%の上昇が予想される。
最近ロンドンに進出したファンドは、Centerbridge Partners, Baupostなどで、既に欧州で事業を行っているOaktree Capital Management, Strategic Value Partnersに加わった。Apollo Management, Avenue Capitalといったファンドも同様に欧州に向けた動きを見せている。