求められる「24時間働かない能力」

 リゲインの「24時間働けますか?」のCMが日本を席捲していたのは1988年のこと。24時間働くことが美徳だったバブル絶頂期から20余年。現代の一流ビジネスマンに求められているのはむしろ「24時間働かない能力」だ。

損害額は年間3兆5000億円

 最近の米国の研究からによれば、頭痛や肩こり、思考力や集中力の低下など良質の睡眠を得ていないことによる生産効率の悪化が企業に与える損益額は、企業負担の医療費の2.5倍にも上る。(ハーバードビジネスレビュー ダイヤモンド社 2006.12 バンク・ワン社 調査結果)それを「プレゼンティーイズム」と呼び近年米国では非常に注目されている。


 睡眠に関するコンサルティングを行う「アクティブスリープ」代表の菅原洋平氏は「日本の実害は米国の調査を大きく上回るものであろう」と指摘する。日本人は概して自らの体調の悪さを自覚しづらく、自らの睡眠不良を過小評価しがちだからだ。

 それを裏付けるデータとして、日本大学医学部の内山真教授の研究では、日本での睡眠不良が原因の生産性の低下による損害は年間3兆5000億円にも上ると試算している。(Geriatric Medicine(老年医学)睡眠障害の経済的評価 45(6): 679 -685 2007)

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