100年後に家宝になる腕時計 第一回

 腕時計は、書画骨董のように「家宝」になる。これは現在の腕時計ブームを支える、ひとつの共通認識といえるだろう。しかしそうした状況になったのは、ここ10数年のことだ。  家宝という言葉は100年後にも価値があるもの、場合によっては「困ったことがあったらこれを売りなさい」と言い含められ、しかし売られることなく受け継がれるものと定義しておきたい。ではその「価値」にどこで線引きをするか。 

100年先が読めない男性モノ

 もし家宝が書画骨董であれば数百万円以上、大卒サラリーマンの初任給の年収相当が下限というところラインがある。腕時計では女性ものの「ハイジュエリー・ウォッチ」を例にとれば話が早いだろう。

 ハイジュエリー・ウォッチは宝飾腕時計の上位概念であり、装飾の意味だけでなく宝石それ自身の価値もある時計である。腕時計一本をバゲットカットのダイヤモンドで取り巻けばトータル数カラット、ブレスレット部分に留めたり、フルパヴェと呼ばれる全面ダイヤモンド仕様にすれば十数カラットから数十カラットになることもある。

 一方で難しいのは男性もの。「よくわからない」といわれる機械式腕時計の世界である。どのブランド、どのような腕時計が、100年後にも同じ価値があるのか。また価値が上がるのか。

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