100年後に家宝になる腕時計 第一回

高値落札が続々のコンプリケーション

 現在の事象から見通しを立てるのであれば、オークショナーでの人気が参考になる。いわゆるサザビーズやクリスティといった「相場の形成力」があるオークションのことである。

 とくに腕時計の世界では、「アンティコルム」という存在がひとつのメルクマールとなる。ジュネーブに本社をおくアンティコルム社は、腕時計に関しては世界最高峰のオークショナー。そのアンティコルムで、いま高値で落札される腕時計の多くが「コンプリケーション」である。

 コンプリケーションとは普通の腕時計に、機械式伝統の複雑機構が加わったものだ。特にミニッツリピーターと永久カレンダーを指すことが多い。ミニッツリピーターは時計の横のレバーやボタンを操作することで、現在時刻をチャイムの組み合わせで知らせるもので、もっとも高度な技術が必要とされる。

 永久カレンダーは4年に一度の2月29日までも自動的に表示する、超絶カレンダー機械式腕時計である。この二つに関しては、ブランドを問わず、新品でも極めて高価であり、ヴィンテージ品でも高値落札されることが多い。

 新品を「家宝」に育てるつもりであれば、永久カレンダーは400万円以上、ミニッツリピーターは800万円以上というのがひとつの目安になるだろう。現在のヴィンテージ品の落札価格も、おなじような目安である。コンプリケーションはいまのところ、目減りしない価値のソースである。

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