大手メーカーは長期熟成を「不良在庫」とみなす
それは元々長期熟成の考えがなかったことと、早期資金化のためすぐに出荷するからだ。資金力のある大手のメーカーの場合も、長期保存は“不良在庫”との指摘を本社サイドから受けるという。
ワイン醸造家が今、「よし、やろう」と一念発起しても、当たり年がいつになるか。そして結果がわかるのは当たり年から更に10年、20年後になる。「長期熟成には我慢が必要で、趣味と道楽のつもりがなくてはできない」(今村)のだ。
今村によると、『鳥居平』で秀逸なワインが誕生した年は、1950年、1969年、1977年、1984年、1990年、2004年で、短くて7~8年、長いと20年近い間隔がある。これをグレートヴィンテージと呼んでいる。2004年以降、それに匹敵するようなワインはできていないという。