「日本にこんなワインがあったのか」~鳥居平物語~(5)

甲州種栽培に費やした40年


白ワイン用の甲州種ブドウ
 勝沼の多くのワイナリーは過去、白ワイン用のぶどうとしてシャルドネ種などの西洋ぶどうを栽培し使ってきた。これが思い込みである。今村は多くの品種を栽培し試してみた結果、10年もの歳月をかけて「白ワインには甲州種が最も適している」との結論に達している。

 以来、約40年前から甲州種の栽培に情熱を注いできた。

 勝沼では、生食用として長く甲州種が栽培されてきた。だが近年は、高値で売れる西洋ぶどうなど様々な新品種に人気が集まって、甲州種の栽培が減ってきていた。しかし甲州種が世界のワイン業界で見直されてきたことから、勝沼町ではぶどう農家に無料で苗木を配るなど普及策を講じてきている。

 ところが今村は、現在勝沼町が行なっているような苗木の無料配布を、10年も前から契約農家に対して行なってきた。ぶどう作り、ワイン造りにこだわり抜いたが故の先見の明だったのである。

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