「日本にこんなワインがあったのか」~鳥居平物語~(5)

勝沼ワインは今村家3代のこだわり


 「樽の場合、木の肌を通してワインが呼吸しており、ウイスキーなどアルコール分が高いものはこれでいいが、アルコール分の低いワインだと酸化が激しく、熟成のスピードが速すぎる。瓶だとコルクの部分だけの呼吸なので丁度いい」(今村)という。

 山梨県工業技術センターのワインセンターではワインの醸造、貯蔵、出荷管理技術の研究を行なっている。また、ワインを専門に研究するわが国唯一の研究機関である山梨大学ワイン科学研究センターでは、最新のぶどう栽培やワイン醸造の実用研究を行なっている。

 しかし、今村のように、土づくりからぶどう栽培、ワイン醸造・長期熟成までトータルでわかる人材はほとんどいない。ことに50年を超えるような長期熟成ワインに関してはデータも何もないのである。この分野においては今村家3代の“こだわり”の成果に頼るしかない。

 だからといって今村は現状に甘んじて足踏みをしているつもりはない。1990年にはアイスワインを試作するなど、さらに美味しいワインを求めて思い込みにとらわれずにチャレンジを続けている。

 次回は各方面で絶賛される「鳥居平」について。(文中敬称略)
◆バックナンバー第4回)「ワインに生涯を捧げた今村のどん底からの出発」

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