菅直人前首相「死ぬ場所に行けと言えるか?」

経団連、電事連などが抑え込んだ

 「安全な原発とは何なのか。結論としては、安全な原発というのはなく、原発に依存しない社会を実現することが日本にとっても、世界にとっても正しい選択だと
確信しました」

 菅氏は、新人議員時代に再生可能エネルギーの促進に取り組み、東京・三宅島の東電の風力発電機、科学技術庁の風力発電政策「フートピア計画」なども研究し国会でも取り上げてきたという。だが、現実は原子力村にはまるで歯が立たなかった。

 「この30年、日本の再生可能エネルギーの技術は高かったわけですが、東電も実験したけど駄目でした、科学技術庁も実験したけど駄目でしたと、全部潰していった歴史があります。再生可能エネルギーが大きく飛躍することは昔からわかっていたわけです。しかし、経団連、電事連、東電をはじめ、その他の関係者が不安定でお金がかかる、と抑えこんできたのです」

 菅内閣は昨年8月、再生可能エネルギーの固定価格買取制度をまとめ上げ、これが最後の仕事になった。そして総理の職を離れてからは、欧州などに自然エネルギーの視察も精力的に行っているという。

 「ヨーロッパに行くまで、三菱重工が風力発電をやっていることを知りませんでした。しかし、三菱重工は再生可能エネルギーの有力なメーカーとして知られています。今回、経産省が主導して、福島沖で1基7000キロWというメガフロートの風力発電実験を始めます。将来的には140基を作ろうという計画です。100基で原子炉1基分に相当します。再生可能エネルギーに関わることを気兼ねしていたとしか思えません。また、技術革新だけでなく、相対的に田舎と言われる、従来投資がいかなかったところにも投資がいく、地域分散の社会へ道が開かれると思います」

 福島第一事故の完全収束は政府・東電などのロードマップでは約40年後。その時の日本の主力エネルギーは何になっているだろうか?

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