古い家が倒れれば、沢山の富豪が生まれる

 中国で急速に進む大規模な都市開発の裏には、悲喜こもごも、農民たちの様々なストーリーがある。中国・時代周報が伝えた。
 
 中国では都市周辺に住む農民の家や農地を没収し、新しいマンションや駅、工場などを作る事がごく当たり前に行われている。以前に比べ、保証制度が整ってきたこともあり、土地を手放した農民は、見返りに多額の現金や新しい家を手にしている。

 杭州市の郊外、牛頭村に住んでいた謝さんもその一人。2007年、杭州市東側の開発に伴って、村には旅客輸送ターミナルや、地下鉄の駅ができることになった。村人には和解金が支払われ、謝さん夫婦も現金を手にした。

 その額は一人当たり100万元余(約1200万円)「こんなにも多くのお金を見た事がなかったので、手が震えた」と言う。それまで、謝さん夫婦は他の農民と同様、農業を営んで暮らしていた。彼らは和解金の他に、一人当たり60平方メートルを基準に、マンションも与えられた。謝さん一家は2軒だったが、多い人は4、5軒の家をもらった人もいるという。

 他にも中国では、広州市では最も多い人で5000万元(約6億元)を手にしたとか、いくつかもらったマンションを売り払って、数百万元を手にしたとか、こうした類いの話が数多く存在する。特に人々に知れ渡っているのは、北京の大望京村の話。農民に支払われた和解金総額は50億元(約600億円)といわれている。ところが一方で、負の面も見えてきている。

 土地との引き換えに得た保証金で大金持ちになった人々のあり方は、現代社会の中で非常に大きな問題になっており、一夜にして多額の現金を手に入れた農民の中には、心も変化してしまった人が少なくない。

 数年の間に湯水のようにお金を使い果たし、前よりも更に貧乏になってしまった人もいる。深刻なのは、現金も、そして先祖代々守り続けてきた土地も失ってしまった人たちが、最終的に新たな紛糾や矛盾を生み、都市の社会問題になっているということだ。

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