5歳・6歳でスイスに留学させたのはなぜ?
―若草さんのお子さんは、スイスのどのようなボーディングスクールに進学されたのですか?
「5歳と6歳の2人の娘を一緒に、スイスの『ラ・ガレン』に入学させました。4歳から13歳までの子供を対象とした定員約80名の小さなボーディングスクールで、2人はそこで3年間を過ごしました。ジュネーブから100キロ以上離れたアルプスの中腹、標高1200メートルにあります。」
―5歳と6歳というと送り出す方も不安が大きいと思いますが、なぜこの年齢で留学させようと思ったのでしょうか?
「実は、夫は子供が生まれた直後から、ボーディングスクールへ留学させることを決めていました。夫は麻布出身でしたが、日本のお受験に懐疑的だったのです。上の子が日本の小学校に入学してみて、夫はあらためて失望の念を大きくしたようです。私たちが子供の世代の教育に求めていたものは、発想力や創造力、暗記した知識でなく論理に基づく思考力、問題発見能力などです。しかし日本の学校ではそれらの能力を獲得できると思えず、海外の学校を考えるようになりました。」
―なぜスイスで、他の国ではなかったのですか?
「低学年専用のボーディングスクールをさがしたら、スイスにしかありませんでした。しかも5歳から入れるのはスイスでも3校のみ。イギリスにも1校ありますが、それは男子校です。」
低年齢留学では、語学力は「副産物」
―低年齢で留学するメリットは何でしょうか?
「まず1つのメリットとして、低年齢ならではのコストパフォーマンスの良さがあります。そもそもスイスのボーディングスクールは学費が高額なことで知られていますが、その中にあっても大きい学年になるほど学費が上がる傾向があります。ラ・ガレンの学費は年間約450万円で、それにユニフォーム代やショートトリップ代、往復渡航費などもろもろ含めると年間の総額は600万円前後になります。しかし中学校・高校からのスイス留学だと年間800~1000万円くらいは覚悟する必要があります。」
―小さい時に留学すれば、語学力が自然につくということも大きなメリットですか?
「留学というと、日本人は語学力を目的と考えがちですが、低年齢留学においては、語学力は目的というより副産物です。低年齢だとお友達ができるのが早いせいもあり語学力はすぐについてきますし、入学時に語学力を要求されないので、最初からアカデミックな面を重視して入りたい学校を選択できます。それに比べて、高校生など高学年での留学はどうしても語学力自体が目的になってしまいがちです。アカデミックレベルの高い学校はある程度の語学力が求められるため、入れる学校も限られてしまいます。」
―なるほど。語学力がなくても好きな学校が選べるというのは、新鮮な観点でした。
「それが、低年齢留学の最大のメリットです。低年齢なら語学力はコミュニケーションを通して自然に身につくので、語学習得のためだけの余分な留学期間を費やす必要がありません。小学生が終わった段階で、英語やフランス語で年齢相応のスピーチをしたりエッセイを書いたりすることは普通にできるようになっています。また、英語やフランス語だけでなく、スイスにはロシアやスペインなど多くの国の生徒が集まるため、様々な国の言語や文化に触れることができますよ。その後の進路もグローバルな視点で選べるようになり可能性がグンと広がります。」