100年後に家宝になる腕時計 第三回

100年後に家宝になる時計は基準がある

 これらのブランドの特徴は、その延長した天井方向に突き抜けた品を持つことだろう。新品で200万円のラインを超えたあたりから、ゴールドまたはプラチナ製のモデルがやっと姿を現す。

 さらにクロノグラフ、ワールドタイマーといった付加価値が与えられる。その上にスプリットセコンド・クロノグラフ(ラトラパンテ)、年次カレンダーといった高度な機構を持ったモデルが配置されている。その上にさらにコンプリケーションと呼ばれる「永久カレンダー」と「ミニッツリピーター」といった複雑機構を備えたモデル、そして「トゥールビヨン」がある。

 こうした上向きのベクトルを上っていけばいくほど、100年後の家宝の条件を満たす腕時計となっていく。すなわち「ブランド」というステイタスと、機械式の機構の精緻な複雑さを具有していることが決定的に重要なのだ。

 貴金属製であることは当たり前である。この条件はつまりは1960年代以前、クオーツ登場前の高級時計のコードにほぼ等しい。機械式高級時計の上流にあるそもそもあった掟が、完全復活したといってもいいだろう。

 基準を満たすような世界的ブランドは、同じ戦略を持っている。各ブランドとも、エントリーモデルのレベルではどのブランドにもクオーツがあり、手の届く価格設定で、幅広い層に、あまねくそのブランドの知名度を拡げている。

 しかし、一方、おいそれとは手が出ない高級ラインではブランドの顔が一変する。

1 2 3 4 5
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる