写真で届ける世界遺産(南イタリア2、奇妙で寂しげなマテーラの洞窟住居)

 奇妙で寂しげな世界遺産と言えば南イタリアの「洞窟住居(サッシ)」です。場所はマテーラですが、訪問する拠点となるのはイタリア・ブーツの踵の部分にある都市バーリです。

 駅前のホテルの部屋からの眺めは雨、奥がバーリ駅、手前にはシュロの木が生い茂り南国の雰囲気です。



 バーリ北駅からバーリ・ノルド線という郊外電車に乗り、延々と続くオリーブ畑を見ながら90分でマテーラ駅に到着しました。あまりに雨が強いので、日本から持ってきた折りたたみ傘を諦め、6ユーロで大きな傘を買いました。この判断は大正解で、激しい雨の中でしたが、何枚かの写真を撮ることができました。

 マテーラの繁華街です。このあたりまではイタリアによくある普通の通りです。



 パスコリ広場からは密集した不揃いな洞窟住居が望めます。くすんだ黄土色を映しだすこのパノラマには息をのみました。


 坂を下りていくと街に入いる小道がありました。


 道は入り組んでいて、迷路と迷路がつながるパズルのようです。こんな坂道を下りていくと、

突然渓谷に出てしまって戻れなくなったりします。


 こういう時の目印は13世紀に建てられたドゥーモの尖塔です。この塔を見つければ、迷っていてもまた街の中心まで戻れます。


 ドゥーモの外観はロマネスク様式、中には金をふんだんに使った装飾があるのですが、工事中で残念ながら中には入れませんでした。


 正面にそびえ立つ、ゴツゴツした山のような形は洞窟教会です。雨で川のようになった坂道を下りて、教会をたずねてみました。


 正式名称はサンタ・マリア・デ・イドリス教会。中はひんやりと涼しく、身廊と側廊には見るべきフレスコ画や彫刻がありました。


 洞窟住居は新石器時代に始まるといわれ、8~13世紀に東方から来たキリスト教の修道士が住みついてできたそうです。住居は幾重にも層をなし、密集したところでは、下の家の屋根が上の家の前の通路となっています。

 その後、この地域のスラム化が進み、20世紀には衛生面から洞窟での居住が禁止されましたが、近年その価値が見直され、一部は修復され、市民の住居やホテルとして利用されています。

 しかしながら、なんとも無機質なこの光景はかつての厳しい現実と対面させられます。



 人通りが少なく、何回も滑りそうになり、道にも迷いましたが、無事に駅に戻り、バーリまで帰りつきました。バーリからの日帰りツアーにちょうどいいのですが、雨の日は道がツルツル滑るので、「マテーラ 海路の 日和あり」、できれば天気の日にお出かけ下さい。

 ちなみにマテーラの洞窟住居は1993年に世界遺産に指定されました。

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