非居住者となって、好きな国をいくつも行き来して節税をするという生き方。それがパーマネントトラベラー(PT)。しかし、昨年3月の東日本大震災発生以降は、日本人によるその価値観が劇的に変化した。日本のPT研究の第一人者である木村昭二氏に、最新事情を聞いた。
「カントリーリスク」の捉え方が変わった
そもそも、PTの概念は、1964年にハリー・D・シュルツ氏が発表。さらに1989年にW.G.ヒル氏がPTを実践し「PT」という著書にまとめ、ここでほぼ現在の理論が固まったと言われている
HOYAの鈴木洋CEOがシンガポールに、ベネッセホールディングスの福武総一郎会長がニュージーランドにそれぞれ拠点を移しているなど、資産額が富裕層の中でもズバ抜けている大企業トップなどで実践している人はいる。これらの人たちに共通するのは、税制上の問題が大きいため、PTの利益の最大限の受益者だ。
「YUCASEE MEDIA」(ゆかしメディア)では過去にも何度かPTを紹介してきた。ただし、それぞれの立場、資産規模やライフスタイルも違う上に、概念は時代によって変化、または多様化していく。それは人の好みや思考も変化、多様化していくからだ。なかには「PTにもう飽きた」「節税のためよりも、生活を楽しむ方がいい」というような時代遅れ論まで出てきている。
日本人のPTは「カントリーリスク」という概念を意識したものが多いのだが、ここに最大の変化がある。