スカイマーク大富豪社長に「暴行」の汚名が

 職務を忠実に実行したにも関わらず、航空会社スカイマークの経営陣の命令を拒んだために解雇されたのは不当だとして、元機長が会社に損害賠償を求めた訴訟で東京地裁は、元機長に約1900万円の支払いを命じた。それよりももっと痛いのは、西久保眞一社長による機長への暴行が認定され、同時に10万円の支払いを命じられたこと。否定しているものの、立志伝中の人・西久保氏にとって「暴行」は予想外の人生の汚点となった。

機長判断を否定「CA交代できぬ」


西久保愼一氏
 西久保愼一氏と言えば、プロバイダ「マスターネット」をナスダックジャパンに上場させた、IT起業家。その経営手腕を見込まれ、2003年に経営難だったスカイマークに35億円を出資。自身でもパイロット免許を取得し、全国すべての空港に降り立って現地視察するなど精力的な経営を行い、日本を代表するローコストキャリア(LCC)に育て上げた。

 ただ同社は、今年に入ってから、挑発的なサービス姿勢を示した「スカイマークサービスコンセプト」を発表し物議をかもすなど、常に話題には事欠かない。

 さて、時はさかのぼって、2010年2月5日、羽田発福岡着のスカイマーク便。オーストラリア人機長は、客室乗務員(CA)が風邪気味で声が出ないことを確認したため機長判断で、CAの交代をスカイマークに要請。ところが、西久保氏らは交代を拒否し、元機長の乗務も認めらなかった。自宅待機を命じられ、後日、契約(出向扱い)を打ち切られている。

 白石哲裁判長は「機長の乗務可否の判断は正当なもので、最大限尊重されるべきもの。国交省から(スカイマークが)厳重注意を受けたことが正当性を裏付けられる」とした。

 しかも、交代できない理由の一つに「交代要員はいない」というものがあった。結局は自宅で非番のパイロットが出社し、予定時刻を1時間以上も遅れて出発することになった。

 スカイマークは後日、国交省から厳重注意を書面で受けた。ただし、同社にとって良くないのはこれだけではなかった。

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