評判悪い大阪国税局、今年はさらに対応悪化も

恫喝、そして誘導

 同社は、2009年までに約64億円の申告漏れを指摘され重加算税など約19億円を追徴課税されたが、その税務調査が「威圧的、誘導的だった」ことが、2011年12月の大阪国税不服審判所の判断で明らかになった。そして、所得隠しと判断された約16億円分が取り消された。

 これも、海外がからむ取引だった。同社の海外子会社が船舶を購入した際、「鋼材価格が高騰したため、上昇分の約16億円を上乗せして再契約した」と主張したが、国税局側は「再契約自体が虚偽」とし、所得を圧縮するために経費を水増しした所得隠しと判断した。

 国税職員が同社社員から聞き取りを行った際、「威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印させられた」「『そのまま書いて』と職員が作った文に署名するよう誘導された」という。

 審判所は、「威圧、誘導的な手法に訴えたとうかがえる」と認定する一方、「再契約は事実」として同社の主張を認めた。「大阪国税局がやりそうなこと」と、マスコミにリークされたことを憤るメーカーの関係者はいう。

 外資メーカーの税務担当者も大阪国税局職員に恫喝されたと話す。この企業の場合、税務調査された伝票の一部で処理の間違いを指摘され、「『その伝票が属しているグループの100枚すべてが間違っていると認めろ』と言われた」という。「『100枚すべてを調べなおし、正しく処理し、申告しなおします』と言うと、国税職員はぶち切れ、『なら、あと半年居座って調査してやる』と怒鳴った」と話す。

 大阪国税局職員の評判には驚くばかり。関西経済が冷え込む中、来年の税務調査の態度は心配される一方である。

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