100億円負けた伝説の相場師に残る2つの闘い

97年の「鉄砲事件」

 寺町さんの生涯を通じて最も重たい病気は、あるいは「相場好き」だったのかもしれない。しかも、負けっぷりが尋常ではないスケールで、数々の発明によって巨額の富を得たが、何百億円を市場に落としただろうか。

 97年に起きた「鉄砲事件」。これは、自動車部品メーカーTDF株を巡って、仕手筋U氏と寺町さんとの間に起きた大きな事件だ。

 U氏が、寺町さんの証券口座から約170万株を購入。だが、その一部を売り抜けて巨額の利益を得た。そして、さらにTDKの株式の価格を上げるために買い増しが必要となるが、その条件として、外資系投資顧問会社から「モンロー」という外国債券の仕組み債を買わされたというのだ。

 ただ、U氏は寺町さんをだまして取引を行い、巨額の利益を得て損失を負わせた。これは刑事事件として立件されたが、それで終わりではない。今も、外資系投資顧問会社との間で今も係争中なのだ。こちらは年内の決着見通し。

 さらに、もう一つの闘いの舞台は、先物取引大手フジフューチャーズだ。これは寺町さんが根っからの相場好きが高じて、同社を買収し自ら筆頭株主兼トップに収まったものだ。

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