3カ月で完成予定の世界最高層ビルの怪しさ(中国)

 中国で年内に竣工予定の超高層ビルが物議を醸している。その建物の名前は「天空都市」。湖南省長沙市に建設予定のこの超高層ビル、地上220階建てで、高さは838メートル、完成すれば現在世界一の超高層ビルブルジュ・ハリファを10メートル抜く事になる。だが、問題なのはその建設期間の短さ。なんと90日以内に完成してしまうというのだ。

 ブルジュ・ハリファは6年の月日をかけて作られたというのに。しかも工期が短ければ費用も少ないのか、予算は40億元(約530億円)だ。

 「天空都市」は、一つの街を建物に詰め込んだような計画となっている。総面積は100万平方メートル。学校、オフィス、映画館、スーパー、植物園など様々な施設があり、約3万人が暮らせるという。16台の大型観光用エレベーターと31台の超高速エレベーターを備え、その人数に対応する。

 建設を担当する中国大手建設会社・遠大可建科技有限公司の説明によると、建物は予め材料を組み立てておいた資材を、積み木のように積み上げていく方法をとっているため、短時間での完成が可能だということだ。この会社、以前も30日間で30階建てのビルを建設し話題になった事がある。同社はマグニチュード9.0クラスの地震にも耐えうる工法と自信たっぷりだ。

 だが、建築専門家の羅朝陽氏(Luo zhao yang)は、「無理に世界一を狙うべきではない。遠大可建科技は超高層ビル建築の経験が浅いし(30階程度しか建てた事がない)、未知の領域に踏み込むのは危険過ぎる」と忠告する。

 また、比較的辺鄙な場所に、3万人収容可能の建物といっても、一体誰が利用するのかという疑問の声もある。本当に「世界一の高さ」と「世界一の完成スピード」を誇る超高層ビルは完成に至るのか。気になるのはやはりその安全性だ。

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