高額納税者が多い東京の高級住宅街トップ5
一方、年収が多い富裕層は当然質の高い住環境を選ぶことができるため、平均年収と納税額を調べることで、富裕層にとって住みやすい住宅街がどこかがはっきりとわかります。
最後に公示された2004年度の高額納税者番付から区・町ごとの人数を集計すると、高額納税者数が多い地区は1位が港区南麻布、2位が大田区田園調布、3位が渋谷区広尾、4位が世田谷区成城、5位が港区元麻布という結果でした。地価で見るよりもずっと明確に、本物の富裕層が多い地域がランキングに反映されています。
{IMG:1136:R::IC} また『東京土地のグランプリ』(講談社)によれば、平均年収・高額納税者数・坪あたりの価格など様々な要素を勘案した結果、高級住宅街のベスト5として以下の街があげられるとしています。1位:大田区田園調布3丁目、2位:渋谷区松涛1丁目、3位:港区南麻布4丁目・世田谷区成城6丁目、5位:文京区本駒込6丁目。
国税調査を基にした都内の世帯平均年収調査でも、平均年収が900万円近い田園調布をはじめ、松涛、南麻布、成城など誰もが知る高級住宅街が毎年上位に入ります。ではこれら上位の街には、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?
日本一のブランド力を誇る「田園調布」
日本で最も有名な高級住宅街と言えば、西の芦屋と並び称される大田区田園調布です。大正時代の実業家・渋沢栄一が、イギリス郊外の田園都市やフランス・パリの都市構造に着想を得て開発しました。田園調布は、当初は中流サラリーマンを対象とした住宅街でした。しかし関東大震災後から富裕層が次々に移り住むようになり、また昭和50年代に東京周辺の地価が一気に高騰したこともあり、今日のような日本屈指の高級住宅街へと成長していきました。長嶋茂雄巨人軍名誉監督や石原慎太郎都知事、有名歌手から政治家、大企業社長まで、誰もが知る著名人が住むことで有名です。
田園調布の街は、駅と噴水を中心にして、放射状に美しく広がる並木道が特徴です。これは、パリ凱旋門のエトワール式道路をモデルに造られたとされます。田園調布で最も持ち家比率が高く、特に大豪邸が立ち並ぶのは、田園調布3丁目。100坪以上、中には200坪や300坪という敷地を持つ、戦前からの大邸宅が今でも多く残っています。
田園調布には、社団法人田園調布会が定める田園調布憲章や、家を建てる際の厳しい規則があります。家を新築する際の地盤の高さ、建物の高さから、土地分割の際は分割後の各土地の面積が165平米を下回らないこと、塀は設けず生垣とすることなど、多くのクリアすべき項目があります。また建築に際しては近隣住民の許可も必要です。新参者には入りにくい住宅街ではありますが、住環境の良さと安全性、自然の美しさ、そしてそのブランド価値は別格。少し都心から離れて、優雅にゆったりと暮らしたい人にはぴったりの街だと言えます。