東京の高級住宅街、住むならどこがベスト?

渋谷の雑踏の先に突如現れる異世界「松涛」

 全国的な知名度は低いものの、麻布や広尾より格上とも言われる渋谷区松涛。紀州徳川家の下屋敷跡を、明治初期に佐賀藩鍋島家が買い取り、茶園を開いたことが始まりです。後に茶園から住宅街に開発され、今では東京屈指の高級住宅街となりました。政治家や社会的影響力の強い富裕層が居を構え、また松涛の隣の神山町には麻生首相の自宅があることでも知られます。

 松涛周辺には東急文化村、戸栗美術館、能楽堂などの芸術文化施設が多くあります。若者が行き交う賑やかな渋谷の雑踏を抜けると、突然目の前に広がる、静かで威厳あふれる邸宅街。異空間に飛び込んだかのようなその違いに驚かされます。

 松涛でも特に格が高いのが、高級官僚や大企業経営者、外国人が多く邸宅を構える松涛1丁目。高い塀に守られた、セキュリティが非常に厳しい大邸宅が整然とならび、警官の姿をよく見かけます。外部の者をシャットアウトするかのような閉鎖的雰囲気と重厚感は、他の高級住宅街より数段上です。松涛には大規模なマンションや商業施設はほとんどなく、店と言えば一軒家の高級フレンチレストラン「シェ松尾 松涛レストラン」くらい。新規販売物件やマンションも少ないため、住みたいと思っても物件を見つけることは至難の業だと言えます。
 
 一方、高級住宅街は公共交通機関の駅から遠くアクセスが悪いことが多いですが、松涛はすぐに渋谷の街に出ることができ、利便性には優れています。静かさと便利さの両方を追求するなら、松涛という街は理想的かもしれません。

子育てに適した、異国情緒あふれる街「南麻布」

 江戸時代には旗本屋敷や大名の下屋敷が多くあり、現在も高級マンションや邸宅が立ち並ぶ住宅街、南麻布。芸能人や著名人が多く住むことで知られます。またフランスやドイツなど20カ国以上の大使館が集まり、外国人エグゼクティブも多く住んでいます。田園調布や松涛と異なるのは、人々の流入が盛んで異国情緒があふれ、かつ最先端の文化に常に接する街だということ。賃貸物件も多いので、他の高級住宅街よりは新しい住民が入りやすく、馴染みやすい雰囲気です。

 また慶應義塾幼稚舎や麻布中学、若葉幼稚園など有名私立校に徒歩で通うことができるため、南麻布は子育てにも適した地域。「セレブ産院御三家」の1つとされる愛育病院や、自然豊かな有栖川公園もあります。子供を有名私立校に通わせるなど教育面を重視するなら、都心ながら住環境にも優れた南麻布はおすすめです。

1 2 3 4
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる