容易には潰れない強固な経営基盤の作り方

実はシャープは恐ろしい会社だった

 労働生産性が800万円だと一般的には販売管理費の50%が人件費なので、経常利益が0円、つまり儲けが1円もない場合、社長と社員に支払える平均給料は400万円(労働生産性の50%)が最大ということになります。

 平成23年のサラリーマン平均給与が409万円なので、不思議とほぼ一致しているのです。

 現在、経営状況が問題となっているシャープの場合、粗利が4120億円、従業員数が5万6756人なので労働生産性は726万円(第118期)です。

 労働生産性が726万円であれば一人あたりの給料は363万円が限界ですが、平均年収はなんと粗利の97%にもなる706万円となっているため、当然のことながら、大幅な赤字となっているわけです。

 そのため、大規模なリストラや、賞与のカットを余儀なくされるのです。

 ちなみにシャープが過去最高の利益を上げた5年前(第113期)のときは、粗利が7132億、従業員数が4万8927人なので労働生産性は1458万円でした。

 このシャープが過去最高益を上げたときのレベルに労働生産性を高めておけば、容易に潰れるようなことはないという事です。

 ただ本執筆のためにシャープを調べて感じた事ですが、シャープの場合、5年前(113期)は過去最高益を出していながら、そのたった2年後の2009年3月(115期)には創業以来初の赤字に陥っています。

 その創業以来初の赤字だった115期の労働生産性は840万円でした。

 2008年9月のリーマンショックによる影響があったようですが、労働生産性が1500万近くもあって、2年後に労働生産性が840万円まで下がって赤字という会社は非常にハイリスクハイリターンの経営をしていると言えます。

 一般的には1500万円を確保しておけば、2年後にいきなり赤字転落といった事は起きないので、シャープは大変恐ろしい会社だという事が分かります。

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