創業時から「ニッチよりグローバル」なテラモーターズ

フィリピン事業が100億円規模の可能性

 その後、業務用タイプ、シニア向けなども順次投入し、国内での電動バイクの販売実績は10年度の約500台から11年度3000台へと数字を伸ばしている。12年度の見通しは4000台弱で勢いが鈍化したように思えるが、これは当初から設定していたグローバル戦略に傾注したためで、前向きに捉えたほうがよさそうだ。


徳重徹社長
 現在、近未来的なデザインを施し、スマートフォンのアプリケーション機能を活用してナビゲーションシステムも組み合わせられるような「世界戦略車」の開発を進めている。今秋にはベトナムの自社工場で年間1万台の量産体制に入り、同国向けだけでなく、近隣の東南アジア諸国や日本への輸出も行われる予定だ。

 また、徳重社長は「アジア開発銀行がフィリピンで進めている三輪タクシーの電動化プロジェクトへの参加も目指しています。当社を含めて11社が入札に応じ、最終的に5つのメーカー発注される見通しです」という。このプロジェクトでは16年までに10万台の電動化が計画されており、単純計算しても1社当たり2万台の受注となる。「1台当たりの価格は6000~7000ドルで、手ごたえを十分感じています」と徳重社長は語り、100億円を上回る事業になる可能性が高い。

 しかし、それだけにとどまらない。フィリピンでの成功が、同じように三輪タクシーが普及しているタイ、インドネシアなどで電動化を誘発する公算が大きいのだ。10年以内の売上高1000億円達成を目標に掲げる徳重社長だが、布石を打ったグローバル市場での戦略が動き出せば、予想以上に早くその目標を達成することになるだろう。

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