ポールソンに成り損ねた天才がレジェンド超え

早仕掛けで暴落まで保たなかった過去


ディーパック・ナルマ氏(コロンビア大公式サイトより)
 ナルマ氏はインド生まれという点においてもすでに異色の経歴だ。公式プロフィールによると、電気工学のエンジニアで、自国では難関大学の一つに数えられるインド工科大学を卒業し、米コロンビア大ビジネススクールで経営学修士を取得。1989年にリーマンブラザーズ入り、モーゲージ証券のアナリストとなった。

 ここですでに頭角を現し、1993~95年まで、米ヘッジファンド業界専門誌インスティチューショナルインベスターズのオールリサーチチームに選出されているほどだ。そして、モーゲージ関連証券取引の部門のマネージングディレクターで腕をふるった。

 言わばモーゲージ証券界のエリートである。

 2001年に独立し、現在のヘッジファンド会社を米NYに設立。住宅バブルで沸き立つ米国経済。しかし、ナルマ氏は冷静にバブルの崩壊を見据えていた。住宅市場崩壊に打って出ることにしたのだった。

 ポールソン氏は2007年にサブプライム関連のCDSを徹底的に買い集めて、これが150億ドルの破格の利益を生んだ。

 ただ、売り方であるナルマ氏は、買い方が強すぎて2007年の市場崩壊までで体力が保たなかったのだ。レジェンドに成り損ねたものの、2008年に奮起する。市場には売りの神がいれば、買いの神もいるからだ。

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