弁護士法人破産で気になる360億円詐欺事件の行方

 ユニヴァーサル弁護士法人(東京・新宿区)が、東京地裁に破産申し立てを行っていたことがこのたび明らかになった。弁護士の破産は今ではそれほど珍しいことではなくなった。しかし、ある巨額詐欺事件の窓口にもなっていたこともあり、単なる破産で済みそうにない。

 ユニヴァーサル弁護士法人と、その代表者であるM弁護士(東京弁護士会)が1月29日に、東京地裁民事20部に破産を申請し認められた。弁護士は都市、地方を問わずに供給過多となっているため、破産は現在ではそれほど珍しい出来事ではない。ただ、あの巨額詐欺事件のことが気にかかる。

 配当がストップしたブックメーカー投資の「スピーシー」(大阪市)の件だ。2008年ごろから募集が行われ、昨年春には配当がストップ。解約も受け付けておらず、集団訴訟となった。被害総額は360億円にも上る(読売新聞)とも伝えられている。

 そのスピーシーの運営が、出資者の連絡窓口をユニヴァーサル弁護士法人あてに指定しているのだ。

 ちなみに、事務所はシャッターが閉じられ「告示書」が掲示され、すべての資産が保全されている状態だ。ひと気はまったくなく、訪れる人もいない。ホームページだが、このたびようやく閉じられた。代表電話も通話ができない模様だ。

 弁護士法7条5号には、破産者は欠落事由に定められている。ただし、破産法255条によれば、免責をへて復権すれば、その限りではない。

 しかし、前例からすれば難しいと言わざるを得ない。かつて、京都地裁の判事補だった鬼頭史郎氏が、検事総長になりすまして、当時の三木武夫首相にロッキード事件に関する電話をかけ、資格をはく奪された。1985年に法曹資格を回復。その後は弁護士会への登録を何度か試みたが、いずれも認められなかった。

 今回の破産申請の意図はわからないため、行方を見守るしかなさそうだ。

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