江副浩正氏、彷徨うリクルート株と消えぬ不動産への夢

名義書き換え、不動産会社社長

 人材派遣大手グッドウィル・グループによる同業者クリスタルの買収にかかる巨額脱税事件。そのハコとなったコリンシアンパートナーズの出資者の一人であったA氏の名前が2009年、突如として出てくる。

 江副育英会が保有するリクルート株がまず江副氏の長女に。さらにそれが巡りめぐって、A氏の手に約3万株が渡っているとされる。A氏は2009年に、名義書き換えを求めて、東京地裁に訴訟を起こし、勝訴している。実際に、名義書き換えが行われているかどうか、現時点で確認する術がないが、株式公開を目指すリクルートにとっては、江副氏が残したこうした遺産とも向き合わなければならなくなる。

 さらに、江副氏は、一昨年10月から、ある不動産デベロッパーの社長にも就任していたことがわかった。サービスアパートメント事業、海外ホテルアパートメント事業などを展開している。70歳を過ぎてもなお、事業に意欲を持っていたということだろう。

 江副氏が起こしたリクルートホールディングスだが、同社公式サイト上には、事件の用語解説があり、さらには「経営理念ができるまで(リクルート事件~経営理念の制定)」として、事件を受けての対応を掲載している。それほど大きな出来事であるということを示している。

 そして、きょう18日は、江副氏のお別れの会が行われる。同社にとっても、同氏のDNAを継承して、株式公開、世界制覇を目指していくことになる。

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