「死にたいと思っても生かされると、かなわない」「さっさと死ねるようにしてもらうなどしないと」。社会保障制度改革国民会議での麻生太郎副総理兼財務相の発言が物議となったが、これは道徳面からの批判が大きかったが、医療を考える上では避けて通ることができない発言でもある。 国立大学病院勤務医
タブー視されてきた議論
「死」「如何にして人生の最後を終えるか」を語ることがタブー視されているかのようだ。
麻生氏の発言だが、内容を冷静に解釈すると、「生きようと頑張っている人」の医療を中止しろ という意味ではなく、終末期の過ごし方に対してもっと自己決定権を与えようという意味である事は明らかだ。
ここでは、財政面にはあまり触れないが、「無い袖は振れない」事は理解しておくべきだろう。現在は借金を重ねる事でなんとかごまかしているが、半永久的にこのような状況が許容されるわけがない。日本が医療に費やせる予算には限りがあるという現状を受け止め、その中で医療のどの分野にどれだけの予算を投じるかを真剣に検討すべきだ。
「如何にして人生を終えるか」、そして望むとおりの終末期を送る難しさについて今一度考えてみようと思う。