「さっさと死ねるように」は正しいか? 終末期医療の課題

健康保険証にリビングウィルの記載欄を

 最後に、誰もがいつかは迎える終末期を如何に充実させるか。その解決策についても検討してみたい。

 まず、思いつくのが、「リビング・ウィル」の普及。つまり本人が元気なうちに終末期をどのように過ごしたいのかという意思表示を書面に残しておく。行政側としては健康保険証に記載欄を作成するなどといったアイディアは簡便で現実的だろう。こういった施策は、患者の意志がなかなか反映されにくい現状を解決するのに有効だ。その際に家族も患者の意志に同意している事を示す記載欄があるとより有効だと思う。

 家族と共に話し合って決めた「リビング・ウィル」を踏まえた上で、適宜医療の専門家が健康面での相談や、社会的なサービスの提案、施設の案内などをしていく。このように医療サポートの充実にも役立てる事ができると思われる。

 終末期を安心して過ごす事ができる施設の充実、及び急性期病院との連携強化も必須だ。地域の基幹病院に勤めている医師でも近隣にどのよう受け入れ施設があるか把握できていないケースも多い。また病院と比較して寂れた施設であったり、私立の高額ホスピスしかなかったりとまだまだ気軽には利用できない状況である。急性期の病気の治療だけでなくもう少しこのあたりにも予算を投入しても良いと思う。

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