最後の「武勇伝」が巨額脱税になりそうな大富豪の評判

銀座のビルだけは売らず

 ビル入居にあたっては、「必ずオーナー本人が面接することで有名でしたし、お金に細かいことは言わないらしく、また、去る者追わずだったらしいです」」(前出の黒服)と知られていた。

 ただ、親しい人物がだれもいないとのことで、さらに家族もいないという。オーナー自ら面談する意図は、そうした点にもあったのかもしれない。

 それでも、有り余るほどの潤沢な現金は保有していたと見られる。会社を清算するなど履歴を分かりにくくした上で、なぜ、あえて国家を敵に回してまでも脱税する必要があったのか、誰にもわからない。

 東京でも六本木、赤坂などのビルはすでに売却済み。だが、銀座のビルだけは保有し続けた。銀座に格別の思い入れがあったと見られる。時代はすでに移り変わり、丸源ビルも新たな入居者にもそれほど人気はない。

 「丸源ビルの名前は知っていますが、オーナーのことは初めて聞きました」と銀座のある若手ホステスはいう。

 銀座でも存在感を失った今となっては、最後は金しか頼るものがなかったのだろうか。人生最後の「武勇伝」が、脱税では晩節を汚したとしか言いようがない。

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