「3K」イメージを払しょくしたい
特別養護老人ホームの職員だった藤田会長は、施設に合わせた介護の在り方に疑問を感じ、利用者本位の介護とは何かを考え抜いた末に現在のモデルに行きついた。そして、重要な社会インフラ事業として全国に広めていくためにはFC展開の必要があると判断し、埼玉での事業を売却した資金を元手に新たな起業に踏み切ったのだ。
「14年3月期から3年かけて事業所数を2025へ増やしていきたいと考えています。それには、茶話本舗の物件の確保、各事業所をマネジメントする本部スタッフの人材育成、そして茶話本舗のブランディングの強化が求められます」と斉藤副社長は語る。その3つの課題のなかで最も重要なのが人材育成だ。残る2つの課題にしても、最終的に人の力に頼るところが大きいからである。
しかし、介護の世界というと「きつい」「汚い」「給与が安い」という「3K」のイメージが強く、若手の優秀な人材を集めるのに苦労してきた。そこで斉藤副社長は自ら代表理事となって11年2月に日本介護ベンチャー協会を発足させた。
「かつてITベンチャーの起業家に若者が憧れたように、若者にとって魅力溢れる『介護版ビットバレー』を作りたいのです」と斉藤副社長はいう。これまで介護の仕事の魅力を伝えるセミナーを全国各地で開催し、3月には斉藤副社長らがトップインタビューの形で若者に語りかけた単行本『エスペランサ──希望』を上梓した。
厚生労働省の推計によると、介護の含めた福祉全体の規模は、06年度の14.9兆円から25年度には28兆円へ倍近くになるとの予測もある。それだけに介護ビジネスのパイオニアである同社の動きから目が離せない。