渋る売り方で崩れる需給バランス
相続対策で買う人もいれば、その一方の対策としては、現金に替えたいがために売却したい人もいる。ある不動産投資家は「待っていたら騰がるかもしれないので、チャンスを見ながらの方がいいかとも考えています」という。
先に登場した不動産業者が、出物がないと嘆いていた理由の一つは、ここにもあるようなのだ。価格が上昇していないのに「売るのはもったいない」と考えるのが人情だろう。
買い方は、金融機関の融資の利率も低い今がチャンスととらえているものの、良い物件を持っている売り方は、最善の条件が来るまで待っていればいいだけだ。
需給が一方に傾いている感じで、現在はバランスが取れていない状態のようだ。もちろん、きっかけ一つでバブルの再来ということもありうる。アンダバリューだった日本の不動産に狙いをつけている外国人投資家など、マーケットを動かすことができる可能性があるプレーヤーの参戦も今後は考えられる
とにかく、富裕層から動き出した不動産市場。今後、バブルになるには、もっと参加者が増えていかなければならないことは間違いないようだ。