5月10日、パナソニックの2013年3月期決算発表の会場に、津賀一宏社長の姿がなかったことが波紋を広げている。本決算と中間決算は、“トップ”自らが説明するのがパナのしきたりだったが、「予測と同じ決算だったので社長が出席する必要がないと判断し、過去の慣例と決別したかったのでは」(在阪経済記者)との見方がある一方で、「責任からの逃避」(50代パナ男性社員)との批判も出ている。
社長出席が慣例だが…
パナソニックの津賀一宏社長
一方、大阪での説明者は広報担当役員。東西ともに社長が姿を見せなかったことに対し、一部の記者が問いただしたというが、担当役員は「社長が説明するきまりはありませんので…」と濁したという。
古くからの慣例を知る記者は、「中村邦夫さん(前々社長)以来、社長が本決算、中間決算を説明するのがパナのしきたり。よくも白々しいことを言う」と担当役員を批判したが、津賀社長に対しては「しきたりそのものを変えたかったのだろう」と理解を示した。
証券アナリストも、「昨年秋に2期連続で7000億円超の最終赤字になることを表明したのは津賀社長だったし、3月の中期経営計画も社長が説明している。今回発表した本決算発表と2014年3月期の予測は、すでに社長が説明したものとほぼ同じだから、説明責任の面では出る必要がないと判断したのだろう」と見た。
実は、トップが出ない本決算発表に動揺したのは、パナ社員だった。パナ関係者はこう話す。