仏政府が高額所得者への増税で、一度は断念した課税策を新たに打ち出し、国内で波紋を呼んでいる。企業が従業員に対して、100万ユーロ以上(約1億2000万円)の給与を支払う場合に、企業に対して75%の税率を課すというのだ。仏ではすでに、最高所得者と最低所得者の給与格差が20倍以内でなくてはならないルールも導入され、外堀が埋められているのだが、徴税へのあくなき執念を見せる。
100万ユーロ以上の高額所得者がいる企業に標的
モスコビッチ財務相
仏政府は、年収100万ユーロ以上の高額所得者に対しての課税強化を盛り込んだ2013年の予算案を発表。しかし、仏憲法院が昨年末に、75%の所得税課税による不公平さを指摘し、本来は税負担とは広く平等にするものとの憲法の原則から外れるものだと解釈し、違憲だと判断し断念せざるを得なかった。
そこに新たに考えた課税強化策が、今回の企業に対するもの。3月の失業率が前月比0.1ポイント増の11%。2008年以降は上昇が続き、政府としては手の打ちようがないままだ。特に若年層でその傾向は強く、この問題を解決したいという思いは見えてくる。