逃げ道は塞いだ
詳細は明らかにされてはいないものの、国内のビジネスリーダーたちとの会談を行ったともいう。実質的なサラリーキャップにつながりかねない政策だけに、ある程度の反応は予測できる。また、これにより、起業家たちが会社を売却しないようなキャピタルゲイン課税も同時に見直していくというから、逃げ道はない。
モスコビッチ財務相は「企業を縛るルールは持っていない」とするものの、「財政再建の礎を築きたい。そのキープレーヤーでありたい」と就任時から一貫して述べており、今後の課税強化は規定路線でもあった。
仏国内のGDP(国内総生産)に占める債務の割合は90%を超えた状態にあり、財政再建のための政策はこれだけにとどまることはない。個人の家計に直接的に影響を及ぼすような消費税などはタッチしないものの、公的年金の支給スタートを遅らせることは、すでにオランド首相が述べている。この予算案は国会で審議されるのだが、徴税権力は様々な手を尽くしてくる。
昨年、大御所俳優ジェラール・ドパルデューさんも移住を宣言し、ロシアの市民権を獲得するなどの動きが出ている。また、海の向こうロンドンの高級住宅街では住居を物色する動きも増えているという。
資産29億ドルの仏ナンバー1の大富豪である、LVMH会長のベルナール・アルノー氏が、顧客の評判などを考えベルギー移住を断念している。増税されてもビジネス拠点がある場合には実質的には離れにくい、という点もあり、こうした点も仏政府は
強気に出られる要因ではあるだろう。