社員年収4割減も、トップ交代で騒動が収まるのかシャープ再建問題

社員の実質年収は4割減

 一方で、奥田社長がこの1年にやったことといえば、2000人にも及ぶ早期退職の募集、社員の給与、賞与の削減――など後ろ向きな話ばかりだ。

 今回の社長交代について、「銀行からの圧力」「社長と会長が刺し違えた」などといわれているが、「大筋で間違っていない」(在阪経済記者)という。

 交代会見の席で挨拶をした奥田社長は「全社一丸となって構造改革に取り組んできたことが実を結び、2012年度の第1四半期を底に業績は回復、約束した2012年下期の営業利益黒字化のめどがついた」ことが交代理由と強調したが、「銀行は直接的な圧力はかけない。そう仕向けただけ」(経済記者)と見られている。

 あるシャープ40代社員は「いま、実質年収は、以前の4割減。生活が苦しい」となげくが、「今年秋の社債償還を乗り切り、会社の生き残りが見えるまでは弱音をはかない」と自らに言い聞かせている。

 嵐の中をこぎ続けるシャープ丸。6月下旬からは船頭は一人だけ。船が山を登るようなことはなくなるだろうか――。

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